クラッチ返り問題についての原因調査第2弾!
素人感全開ですが、もはや大人の自由研究的なノリで楽しんでいます(/・ω・)/
今回も長文なので覚悟してください!笑
前編のおさらい
前編ではクラッチ返る問題を考えるに辺り、クラッチの仕組みを考えました。
前編を読まれてない方は、まずコチラからご一読ください↓
以前書いたDRTのデカハンドルノブ、バリアルハンドルノブ(+アベイル オフセットハンドル95mm)のインプレ↓ [sitecard subtitle=関連記事 url=https://nanabunnoni.net/drt-varia[…]
そして、キャスト時にクラッチ返りを防ぐ対処方法としては…
- ハンドルが回転しないキャストフォームで投げる
- リール自体をクラッチが戻りにくいものにする
という2つの方法がありますね、という話でした。
キャストフォームについては前編で書いた通り、クセのある投げ方をしている場合には修正を試みるしかありませんが、同じようなカスタムで同じようなキャストフォームをしてそうな人でも、このクラッチ返る現象が起きている人と起きていない人がいるようで…
つまり、要因はキャストフォームのみならず、リール自体にも問題があるのではないか!?と考えた訳です。
ということで、今回はリール自体に焦点を当てて、検証した結果をまとめていきます!
クラッチの返りやすさが違う!?3台のカルコンを比較
私は3台の現行カルコン(100×2台、BFS×1台)を所有していますが、感覚として、クラッチを切った状態からの戻りやすさが違うな…という印象がありました。
※BFSは100を軽量化・FTBブレーキ化したものであり、内部構造は100と同じです。
簡単に言えば「クラッチ返る問題が起こったカルコンは軽い力でクラッチが返る」「購入して1年未満のBFSはクラッチを返すのにより力が必要」という感覚…つまり、もっとざっくり言うとリール自体がヘタってる・ヘタってないの差を感じる、ということ。
ただし、これだけでは感覚の問題になってしまうので、数値化することを試みました。
クラッチを返す力の計測方法
ここからは高校生のときに物理・数学が意味不明すぎて化学・生物に逃げた理系おじさんが勝手に考えた方法と論理なわけですが、理に適ってはいると思うので、一切突っ込みなしでお願いします。笑
計測方法は至って単純です。
クラッチを切った状態から、デジタルウエイトスケールにつないだ糸でハンドルの片側をゆっくり引っ張り、何gまで上がったところでクラッチが切れるか?というものです。

尚、この計測を行うに辺り、条件は以下の通りとしました。(小難しい話が嫌いな人は、ココは読み飛ばしてください)
- メカニカルブレーキは全開、遠心(またはマグ)ブレーキはMINとする
- 測定時は95mmハンドル+バリアルハンドルノブを装着した状態とする(回転軸からの距離を合わせる)
- 引っ張り方向はハンドルに対して90度方向に、できる限りゆっくり引っ張る
- 測定は計10回行い、中央値に近い8個のデータを採用する
- 計測値のバラツキは標準偏差10以下であれば問題ないとする
カルコン×3台の計測結果
はい、では結果です↓
カルコン100(1) | カルコン100(2) | カルコンBFS | |
計測平均値(N=8) | 253 g | 290 g | 330 g |
標準偏差 | 8.4 | 4.0 | 8.1 |
- カルコン100(1):クラッチ返ったカルコン、3シーズン以上酷使していて使用頻度最も高い
- カルコン100(2):3シーズン以上酷使してるが使用頻度は(1)よりも低め
- カルコンBFS:使用期間1年未満、使用頻度低め
見事に面白い結果となりました。同じカルコンでもクラッチを返るのに必要な力が異なります。
感覚の通り、クラッチ返る現象が起きたリールは最も低い値ですし、使用期間の短いBFSは最も高い値です。
つまりコレ、もしかするとざっくり言うところの「ヘタリ」を改善してやれば、クラッチ返る現象を抑えられる可能性があると考えたんです。
クラッチ機構の関連パーツを新品にしてみる
リールを酷使してきたことが原因でこの「ヘタリ」が起きているとすれば、クラッチ機構に関連するパーツを新品に交換すれば、理論上は改善するはず…
というわけで、早速純正パーツの取り寄せを行いました。交換するパーツとして選定したのは以下の通りです。
- ピニオンギアとドライブギア
- クラッチヨークとクラッチカム
- クラッチツメバネとクラッチツメブッシュ
※何故この部品を選定したかは前編をよく読んでみてください。
そして、この1~3の順番で三度に分けて新品パーツを追加していきながらクラッチを返す力を計測した結果がコチラ…↓
ピニオン・ドライブギア新品 | ギア&クラッチヨーク・カム新品 | ギア&ヨーク・カム&ツメバネ・ブッシュ新品 | |
計測平均値(N=8) | 239 g | 327 g | 339 g |
標準偏差 | 8.4 | 8.7 | 5.5 |
はい、どうですか?
個人的には意外な結果となりました…最も効果があったのは「クラッチヨーク・クラッチカムの交換」でした。
一方、SNS等で「ピニオンギアの摩耗が原因」とアドバイスをくれた方が多数いらっしゃいましたが、コレは効果なし。
クラッチツメバネ・ブッシュも多少改善方向にいきましたが、大きな効果はありませんでした(コレはちょっと意外だった)。
しかし、「クラッチの切り感」は、ここを交換することで大きく改善した印象でした。酷使しすぎたせいなのか、クラッチを切るのが重く、つまる感じがあったのが一気に改善され、購入時に近い感触に戻りました。
結果の考察してみる
まず、クラッチヨーク・カムを新旧を比較したところ、旧品はクラッチヨークが当たる部分が明らかに削れていました。
それ以外の部分は、変化があまりわからなかったのですが、このパーツはクラッチを切る・戻るのたびに他のパーツ類に擦られるものですので、もしかしたら他にも削れている箇所はあるかもしれませんので、それがクラッチ動作のヘタリに繋がったのかもしれません…
一方で、ギアの交換については、正直予想通りの結果でした。
ピニオンギアのスプールピンとの接触部分は確かに角が潰れて削れていました。しかしこれはクラッチを戻したときにピンと接触することで結果的に発生しているものであり、原因にはならないと考えていました。
※ドライブギアを新品にしたのはピニオンギアと交換のタイミングを同じにしたかった為です。
再度検証、クラッチのヘタリを再現できるか
ここまででクラッチの戻りやすさを改善するにはクラッチヨーク・カムを交換することが効果的とわかりました。
そこで今度は逆にクラッチがヘタっていないカルコンBFSにこのパーツを入れて、再現が可能がどうかを検証しました。検証の結果は…
カルコンBFS | ヨーク・カム酷使品 | |
計測平均値(N=8) | 330 g | 294 g |
標準偏差 | 8.1 | 7.4 |
ハイ、この通り、やっぱりヘタってくれました。
ただ、ヘタリ具合が当初一番ヘタっていたカルコンまでには及んでいません…
ここで思い当たる点があり、再度内部を開けて調整して測定を行いました。その結果…
カルコンBFS | ヨーク・カム酷使品&調整 | |
計測平均値(N=8) | 330 g | 268 g |
標準偏差 | 8.1 | 5.5 |
ハイ、やりました、再現できました!!(なんの喜びコレ)
では何をしたかというと…
このビスの締めを若干甘くしたんです。
実はこれ、最初にヘタってたカルコンをバラそうとしたときに「なんかここのビス締め甘かったかも?」と感じていたんです。
このビスはクラッチカムを抑え込む「クラッチカム押サエ板」を固定するものであり、ここが緩いとクラッチカムの動きにガタが出ると思われます。(使用していて気づかないくらいなので、僅かなレベルかと思われますが)
たぶんこれがクラッチの返りやすさに繋がったのかと…
いやこれは本当に勉強になりました…
まとめ
今回の検証では以下のことがわかりました。
- リールの状態によってクラッチを返すのに必要な力は異なる
- クラッチの返りやすさを改善する手立てとして、クラッチヨーク・クラッチカムの交換が効果的(もし交換するならクラッチツメバネ・ブッシュもセットで交換すれば尚良し)
- クラッチカム固定ビスの締めが甘いとクラッチは返りやすくなる可能がある
そしてクラッチ返る問題に話を戻しますと、リール自体に対して施せる対処法は今回まとめた内容が限界かと考えます。
リールをここまで改善してあげてダメなら、もう諦めてキャストフォームを改善するかハンドル自体の使用をやめるかでしょう。笑
自分の場合は今後もロングハンドルの使用は続けていく予定なので、また何がわかってくればシェアしたいと思います。
また、最近のバサーさんは1つのリールを酷使し続けることをあまりやらないかもしれませんが、こんな感じで各部のパーツを交換してあげれば初期状態にある程度戻せるという実証にもなったかなと思います。
思い入れのある道具は長く愛用していきたいものです(´ω`*)
最後に注意
今回の検証、計測方法も素人全開ですし、リールの組み方も素人がやっているわけですので、他の方がもしもこの方法をとっても、この結果を再現できない可能性もあることをご理解ください。
あくまで参考程度と考えてもらえればと思いますが、クラッチ返る問題に困っている方々に対して、何かの参考になれば幸いです(^ω^)
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